検診・健康お役立ち情報

毎日ドクタ- 健康かわら版 6月号

夏こそ梅干 梅干の健康パワーを科学する!

産業医・毎日ドクタ-理事長 山田正樹

★梅干の歴史
梅の木は大和朝廷時代に中国から伝わりました。最初は梅の実を燻製にして漢方薬として使用していました。鎌倉時代になると武士の携帯食として利用されるようになりました。今日のように食卓に上るようになったのは江戸時代になってからといわれています。江戸時代には「朝一粒の梅干は、その日の難のがれ」ということわざがあり、朝食の際に梅干を食べることにより、疲労回復や食あたりの予防を期待したそうです。また、旅人が道中の体調管理のために梅干を食べていたことも知られています。

★梅干の健康パワーの秘密
①梅干の主成分で酸っぱさの源であるクエン酸は、体の疲労物質をすばやく代謝して夏バテを予防する効果があります。また細胞の新陳代謝を高めて免疫力を高める効果もあります。

②梅干の主成分のクエン酸は強力な殺菌作用があり、食品の腐敗を防ぎ、夏場の食中毒の予防に効果があります。梅干が具のおにぎりと肉、魚、マヨネ-ズが具のおにぎりを夏の車中で6時間放置した場合、梅干しが具の場合は食中毒菌の繁殖は心配のないレベルですが肉、魚、マヨネ-ズが具の方は大量の食中毒菌が発生しています。日の丸弁当は食中毒の予防を目的とした先人達のすばらしい知恵です。また梅リグナンという物質は胃がんのリスクと考えられるピロリ菌を減弱させる効果が知られています。

③梅干は酸っぱい食べ物であるという経験から、私たちは梅干を見ただけで条件反射がおこり唾液が出てきます。唾液が多く出ることは食事の消化に大変役立ち、夏場の食欲低下を改善してくれます。また胃と腸が連動して働く健胃効果も上がります。

④梅干に含まれている塩分は熱中症の予防に効果があります。熱中症の予防には、こまめな水分補給と適度の塩分補給が大切です。一日一粒の梅干は、まさにその日の難のがれ、熱中症対策に最適といえます。

★梅干と調味梅干(減塩梅干)
梅干の塩分量は9%以上あります。それに対して調味梅干(減塩梅干)は塩分量が4%~7%となっています。血圧が高めで内服治療中の方や塩分を控えておられる方は、主治医とよくご相談された上で、調味梅干(減塩梅干)の中粒で一日一粒を目安とされるとよいでしょう。最近では梅干のふりかけや海苔の替わりに巻く梅シートのような商品も開発されています。梅干を上手に食べて、この夏を乗り切りましょう