検診・健康お役立ち情報

毎日ドクタ- 健康かわら版 5月号

笑う門には健康来る・笑って笑わせ脳を活性化

産業医・毎日ドクタ-理事長 山田正樹

■脳の科学
人間の脳は、脳幹、大脳辺縁系、大脳新皮質という3層構造になっています。
脳幹は頸椎の上方に位置しており、人間が生きていくために必要な食欲や呼吸の中枢が存在しています。大脳辺縁系はその上方の頭蓋底に位置しており、喜怒哀楽などの感情をつかさどっています。大脳新皮質は大脳半球と呼ばれる脳で、高次元の脳機能を持ち、意思、理性、記憶、計算、創造などをつかさどっています。

■笑いの発生メカニズム
笑うという行動は脳幹から大脳辺縁系に存在するA10神経が視覚や聴覚から心地よい刺激を感知すると発生します。またその刺激に喜怒哀楽が加わり、大脳新皮質が刺激を受けると笑いは増幅していきます。

■笑いの科学、健康におよぼす効果
大脳新皮質が刺激を受けて笑いが増幅してくると、脳から神経ペプチド(神経伝達物質)が全身に大量分泌されます。この神経ペプチドは人間に本来備わっている、がん細胞に対する免疫の担い手(ナチュラルキラ-細胞)を活性化させ、免疫システムのバランスを整える効果があります。免疫システムにはアクセル役のCD4とブレ-キ役のCD8があります。CD4÷CD8が小さすぎると免疫力低下を招き、大きすぎると免疫の暴走誤作動がおこり、自己免疫疾患(リウマチなど)を招きます。毎日楽しく笑うことにより、がんの予防効果アップや免疫システムの安定維持が期待できます。また、脳血流を検査すると、笑った後は大脳半球の血流が増加して両大脳半球の連結部位(脳梁・海馬)の老化が軽減して、うつ傾向や認知症の予防効果がアップします。脳波を検査すると、笑った後はリラックス状態でみられる脳波(アルファ波)が増加しており、穏やかな気持ちになり自立神経のバランスが良好となり、血圧の安定や不整脈の予防効果が高まります。

■笑って健康 笑わせて大脳新皮質を活性化
毎日楽しく笑って生活することは ①がんの予防 ②免疫システムの維持 ③うつ傾向や認知証の予防に繋がります。毎日楽しく笑うためには時間的なゆとり、観察力、想像力が大切です。また、相手を笑わせるためには、絶妙の間、発想の転換、他人を思いやる気持ちが必要です。ご自身が毎日楽しく笑って生活をされ、余裕があれば他人を笑わせる小ネタを考えて、どんどん大脳新皮質を活性化させましょう!