検診・健康お役立ち情報

毎日ドクタ- 健康かわら版 9月号

― 健康寿命を延ばそう ―

産業医・毎日ドクタ-理事長 山田正樹

 平均寿命と健康寿命
本年7月末に2014年版の厚生労働白書が厚生労働省から発表されました。これによりますと2013年の日本人平均寿命は男性が80.21歳、女性は86.61歳となり、男性は初めて80歳代に到達しました。女性は世界で最長寿となっています。
さて、平均寿命に対して健康寿命という概念が最近重要視されています。健康寿命とは『加齢や病気が原因で日常生活に何らかの制約が発生することなく生活できる年齢』 を言います。健康寿命は現在の所、男性が70.42歳、女性は73.62歳となっています。健康寿命と平均寿命の差は男性が約10歳、女性は約13歳となります。今後は健康寿命を延ばして平均寿命との差を縮小していくことが大切となります。

 健康寿命を延ばすためには
健康寿命を延ばすためには高齢期になってからの注意では間に合いません。生涯を通して健康に注意することが基本となります。入社時の健康診断、毎年の企業健診、地方自治体の健診、個人の人間ドックなどを毎年受診され、『ご自身の健康リスク』を把握していることが重要です。そしてその結果を丁寧に指導していく『ホ-ムドクタ-の存在』 が不可欠となります。健康リスクに対する指導が早期に開始されれば、コントロ-ル可能な健康リスクで留まり、仮に内服治療を必要とする場合でも最小限の内服量ですみ、将来の健康寿命に及ぼす影響を可能な限り減らすことができます。

 各年齢における健康注意
① 入社時 ~ 30歳
体重の増加 脂肪肝 コレステロ-ル・中性脂肪の上昇に注意
メタボ予備群の注意
② 30歳 ~ 40歳
体重の増加 脂肪肝 コレステロ-ル・中性脂肪 血圧の上昇に注意
子宮癌検診 乳癌検診を毎年実施
メタボの注意
③ 40歳 ~ 50歳
体重の増加 脂肪肝 コレステロ-ル・中性脂肪 血圧 血糖値の上昇に注意
子宮癌検診 乳癌検診を毎年実施
胸部レントゲン 胃透視 検便などで癌の早期発見を
高血圧症 脂質代謝異常 糖尿病の適切な通院治療を
④ 50歳 ~ 60歳
体重の増加 脂肪肝 コレステロ-ル・中性脂肪 血圧 血糖値の上昇に注意
子宮癌検診 乳癌検診を毎年実施
胸部レントゲン 胃透視 検便などで癌の早期発見を
高血圧症 脂質代謝異常 糖尿病の適切な通院治療を
血管年齢・動脈硬化に注意 心筋梗塞・脳梗塞の予防・治療を
⑤ 60歳以上
胸部レントゲン 胃透視 検便などで癌の早期発見を
高血圧症 脂質代謝異常 糖尿病の適切な通院治療を
血管年齢・動脈硬化に注意 心筋梗塞・脳梗塞の予防・治療を
筋力の維持(体操 散歩 スポ-ツ) 物忘れ・認知症の予防・早期発見を

健康寿命を延ばすためには高齢期になってからの注意ではなく、若い時からの継続した注意が大切です。ご自身の健康リスクを把握して信頼のおけるホ-ムドクタ-を持ちましょう。