検診・健康お役立ち情報

毎日ドクター 健康かわら版 10月号

いつまでも歩き続けよう!最新科学で見つかった歩くことのメリット!

毎日ドクター理事長・産業医
山田 正樹

■人類はなぜ歩きだしたか
私達人類の祖先は30万年前に登場したネアンデルタール人と、その後20万年前に登場したホモサピエンスであると考えられています。ネアンデルタール人もホモサピエンスもアフリカ大陸で生まれました。彼らはより良い生活環境を求めて、そして多くの獲物を求めて歩き出しました。アフリカ大陸からヨーロッパへ、そしてアジアへと果てしない旅に出ました。

■最新科学が歩きを解明
歩くという行動は着地の瞬間に下肢や腰椎に衝撃をあたえます。この衝撃により骨から重要なホルモンが分泌されていることが最新の研究で判明しました。1つは免疫力を向上させるオステオポンチン、もう1つは記憶力を高めるオステオカルシンです。人類の祖先が獲物を求めて果てしない旅に出た時、病気にならない丈夫な体を維持するために、そしてどの森にどんな獲物が多くいるのか記憶するために、歩くという行動が人類にとって重要なホルモンを分泌するメカニズムへと進化していったのです。

■歩くことのメリット
これまでは予防医学の立場から、歩くことによって

①心肺機能が維持される
②筋力が維持される
③骨が丈夫になる
④糖尿病の予防効果がある
⑤コレステロール値が安定する

などが実証されてきました。これに加えて最新の研究では前述のように歩くことにより病気に対する免疫力が向上すること、記憶力が保たれて認知症の予防に効果があることが分かったのです。

■上手な歩き方
歩くことは健康長寿に不可欠です。上手な歩き方のコツとして

①歩く時間は食後1時間半後がおすすめです。
②歩く前には少し水分をとりましょう。
③一度に連続して何時間も歩くより30分程度の散歩を朝夕2回にわけて疲れを残さないようにしましょう。
④歩く前と歩き終わった後には体操とストレッチをしましょう。
⑤拳半分ほど歩幅を広げて体重移動を意識して歩きましょう
⑥インターバルウオーキングといって、時々3分間ほど早足で歩いてみましょう。

などがあげられます。

■いつまでも歩き続けよう
人類の祖先が生み出した歩きのメカニズムを大切にして、いつまでも人生という道を楽しく元気に歩き続けましょう。